高杉晋作といえば、幕末の長州藩の尊王攘夷志士として知られる人物ですが、実は都々逸という江戸時代の俗曲にも関わっていたことをご存知でしょうか?
今回は、高杉晋作が詠んだとされる都々逸の一つ「三千世界の鴉を殺し」について、その意味や時代背景をみていきたいと思います。
高杉晋作と都々逸の関係は?
高杉晋作は、幕末の長州藩の尊王攘夷派の志士であり、藩内の改革や倒幕運動に大きな影響を与えた人物です。
高杉晋作は、武芸や政治に優れていただけでなく、文芸にも造詣が深く、特に都々逸(どどいつ)という口語による定型詩に親しみました。
都々逸は、七・七・七・五の音数律に従う俗曲で、男女の恋愛を題材に扱ったものです。
高杉晋作は、この都々逸を自ら作詞したり、遊郭で遊女と唄いあったりすることを楽しみました。
高杉晋作の都々逸の中でも有名なものが、「三千世界の鴉を殺し ぬしと朝寝がしてみたい」というものです。
都々逸は、萩の民謡である「男なら」や「ヨイショコショ節」の歌詞として今でも唄われています。
高杉晋作の都々逸の意味と解釈のポイント
高杉晋作が詠んだとされる都々逸、
「三千世界の鴉を殺し ぬしと朝寝がしてみたい」
一見すると遊郭での恋愛を歌ったものに見えますが、実は深い意味や背景が隠されています。
この都々逸を理解するためには、以下のポイントに注意する必要があります。
・高杉晋作は遊郭に通っていたのか
・都々逸は遊女の視点から歌われているのか
・三千世界とは何を指すのか
まず、高杉晋作は遊郭に通っていたのかという問題ですが、これについては確かな証拠はありません。
しかし、幕末の長州藩士や志士たちは、遊郭に通うことで政治的な情報や同志との連絡を取ったり、諜報活動を行ったりしていたことが知られています。
高杉晋作もまた、遊郭に通うことで倒幕運動に関わっていた可能性は否定できません。
次に、都々逸は遊女の視点から歌われているのかという問題ですが、これについても確定的な答えはありません。
しかし、一般的に都々逸は遊女らが客に媚を売る為に歌ったものであり、客の男性を「主」と呼ぶことも多かったことから、この都々逸も遊女の視点から歌われていると考える方が自然です。
また、高杉晋作が自分自身ではなく遊女の立場になって都々逸を詠んだことで、自分の本心や思想を隠したり、皮肉や風刺を込めたりしていた可能性もあります。
さらに、三千世界とは何を指すのかという問題ですが、これについては仏教用語として解釈することが一般的です。
三千世界とは仏教における膨大な宇宙の集合単位で、「世界中の、この世のすべて」という強調表現でもあります。
高杉晋作の都々逸の意味と解釈のまとめ
高杉晋作の都々逸「三千世界の鴉を殺し ぬしと朝寝がしてみたい」は、遊郭での恋愛を歌ったように見えますが、実は幕末の情勢や思想を反映したものです。
高杉晋作は遊郭に通って倒幕運動に関わっていた可能性があり、遊女視点から都々逸を詠んだことで自身の本心や皮肉を表現していた可能性があります。
三千世界は仏教用語で「この世のすべて」を意味し、鴉は熊野神社の神使であると同時に、幕府や権力者を象徴するものです。
朝寝は遊郭での恋愛だけでなく、自由な生き方や理想の世界を求めることを意味します。
この都々逸は、高杉晋作の人生や思想を知る上で重要な手がかりとなるものと思っています。