高杉晋作が所有した愛刀とは?
その後の愛刀の意外な行方とは?
この記事では幕末の志士である高杉晋作が愛用していた刀について、その名前や特徴、現在の所在などを紹介します。
高杉晋作は剣術に秀でており、免許皆伝の腕前でした。
彼が手にした刀はどのようなものだったのでしょうか。
高杉晋作の愛刀は「安芸国佐伯荘藤原貞安」と「粟田口」
高杉晋作の愛刀は、二本ありました。
一本は「安芸国佐伯荘藤原貞安」という刀で、二尺七寸（約81センチ）と長めで反りが少なく切っ先が延びた姿をしていました。
この刀は元々薩摩藩士や土佐藩士が持っていたもので、高杉晋作は一目惚れし田中光顕という土佐藩士を弟子入りすることを条件に譲ってもらいました。
高杉晋作はこの刀を常に自分の側に置いて亡くなるまで手放さなかったと言われています。
しかし高杉晋作の死後、この刀の所在は不明になりました。
もう一本は「粟田口」という刀で、これは鎌倉時代から有名な刀工の一派です。
「粟田口」の刀は、地鉄の精錬において最高峰とされ、歴代の将軍家にも愛用されているものです。
とは言っても粟田口の系統や種類は多く、高杉晋作が持つ粟田口は、どのようなタイプであったかは明確ではありません。
しかし一つ可能性が高いと思われるのが、江戸時代中期に活躍した摂津の刀工「粟田口近江守忠綱（一竿子忠綱）」です。
この忠綱の刀は老中・田沼意次の息子を暗殺した際に使われたことで人気に火がつき、「世直し大明神」と例えられます。
倒幕という「世直し」を志す高杉晋作がその刀を持っていてもおかしくはないでしょう。
しかし、安芸国佐伯荘藤原貞安と同じく粟田口も高杉晋作の死後、所在不明となりました。
高杉晋作はピストルも愛用していた?
高杉晋作は文久2年（1862年）に幕府の使節として中国の上海に渡り、そこで最新式の武器であるピストルを購入しました。
その後、彼はピストルを自分の同志や他藩の志士に贈っていました。
その中には、土佐藩の坂本龍馬も含まれていました。
高杉晋作は慶応2年（1866年）1月に長州で龍馬と会った際に、護身用にピストルを渡しました。
そのピストルが坂本龍馬の命運を変えることになります。
同月23日深夜、坂本龍馬は伏見の寺田屋で襲撃されましたが、高杉晋作から贈られたピストルを使って応戦し、辛くも脱出に成功しました。
坂本龍馬はその後もピストルを愛用し、暗殺されたときも一丁のピストルが遺品として残されていました。
高杉晋作とピストルの関係も、幕末維新の歴史に大きな影響を与えたといえるでしょう。
時代の革命児、高杉晋作は武士の魂である刀以外の武器をも仕入れていたのは、彼の素晴らしい先見の明でしょう。
高杉晋作の愛刀は、現在は行方不明
高杉晋作の愛刀は「安芸国佐伯荘藤原貞安」と「粟田口」でしたが、どちらも現在は所在は不明です。
「安芸国佐伯荘藤原貞安」は長く反りの少ない勤皇刀で、土佐藩士から譲ってもらった。
「粟田口」は鎌倉時代から有名な刀工の一派で、忠綱の刀であれば「世直し」を象徴するものだと考えられます。
また高杉晋作が愛用した木刀は現在も残されており、萩博物館で見ることができます。
高杉晋作は柳生新陰流の免許皆伝を腕前でした。
彼が手にした愛刀はどれも歴史的価値の高いものです。
しかし、その愛刀たちは今では見ることができません。
高杉晋作の愛刀は、どこかに眠っているはずです。
いつか誰かが発見する日が来るかもと思うと興奮は抑えられません。