私は高杉晋作

頭がおかしいと言う人が「頭がおかしい」

繰り返し読む価値のある本まとめ①

約 10 分
繰り返し読む価値のある本まとめ①

最近はどうもいかに少ない時間で早く本を読むかという読書法がもっぱら流行っているようだ。

 

 

そんな時代において、錯誤ともいえるだが、とにかく同じ本を繰り返し読むことにはまっているのが私である。

 

 

さて、2017年も折り返したわけだが、今年も繰り返し読んだ本というのが幾つかあった。

全て紹介できればと言いたいところだが、気力もないので3冊だけ紹介したいと思う。

 

今の時代に間違いなく必要な1冊だと私は思っている。

 

  1. エドマンド・バーク『フランス革命の省察』
  2. ハンナ・アレント『全体主義の起源』
  3. オルテガ・イガセット『大衆の反逆』

 

 

エドマンド・バーク『フランス革命の省察』

まず、繰り返し読んだ本の1冊目であるが、エドマンド・バーク『フランス革命の省察』である。

 

私も古い本を好んで読むようになるまではあまりなじみもなかったし、タイトル自体がそもそも「日本に住んでる俺らに関係あるの?」という印象を与えられた記憶がある。

 

もしかするとあなたもそうかもしれない。

 

しかしながら、読後して思ったことが、この人物は極めてまっとうな考え方をした人物だということだった。

 

 

 

ちなみに、タイトルにあるフランス革命というものは我々にも極めて関連性の高い革命であることを読んだ人であれば間違いなく気づくことができるのでそこは辛抱してまずは手に取ってもらいたい。

 

 

簡単にエドマンド・バークという人物がどういう人物かを紹介すると「保守」である。

 

 

 

彼の保守思想を一言で述べると「伝統を尊重する姿勢がいかなる場合においても必要となる」という考え方だと言っても良い。

過去の世代から自由を受け継いだとする姿勢は、われわれの行動におのずから節度と尊厳をもたらす。地位であれ権利であれ、自分一代で獲得したものは、ほとんどが成り上りの傲慢さに取り憑かれて恥を晒すが、そんなみっともない真似をせずにすむわけだ。我が国の自由は、こうして高貴なものとなる。

エドマンド・バーク『フランス革命の省察』

 

エドマンド・バークの思想はのちにエマニュエル・カント、ハンナ・アーレント含め多くの大哲学者に引き継がれる。

 

 

では、なぜ繰り返し読む価値がある本なのか?

 

それはテレビをつけてでもいいし、本屋に行ってでもいい。

新聞でもいい。

 

 

とにかくいたるところで「改革」「構造改革」「イノベーション」と朝から晩まで言われている。

 

そして、それは権力のトップである総理大臣に現れている。

以前の施政方針演説で「改革」を30数回言ったのは記憶に新しいが、それでは足りないと思ったのか、最近は「異次元」という言葉を愛用している。

 

 

「異次元の金融緩和」から「異次元の地方創生」、そして「(北朝鮮へ)異次元の圧力」

www.youtube.com

 

異次元ってもう大気圏超えちゃってることに気づいて使ってるのだろうか。

 

 

人間の平衡感覚を超えた場所をイメージさせる言葉を多用するとはもはやイかれてるとしか言いようがない。エドマンドバークも「異次元」という言葉を使うほどのいかれた人間は想定できなかったようだ。

 

 

ただ、こんな総理大臣が50%近くの支持率に回復している今こそ、エドマンドバークを繰り返し読むことでまっとうな人間としての感覚を取り戻さなくてはならない。

 

 

ちなみにわかりやすい例として安倍晋三という権力者をあげたが、経済界にもこの手の改革バカで溢れている。有名どころで言えば、大前研一、伊賀泰代、竹中平蔵、小池百合子などがある。

 

NPというニュースアプリを使ってみるとわかるが、経済界の大物ほど改革バカが多いのだ。

 

「国はこうあるべし」という自己の理論に酔うあまり、現実の国家に良い点を見いだそうとしない者は、本当の意味では社会に関心など持っていない。

エドマンド・バーク『フランス革命の省察』

 

ハンナ・アレント『全体主義の起源』

続いてあげたいのがハンナアレントの『全体主義の起源』だ。

最近新版が出されると同時に重版ともなっており手に取りやすくなってきていることが微笑ましい次第である。

 

 

そのハンナ・アレントの『全体主義の起源3』がなぜ今繰り返し読まれるべき本かを少しだけ書きます。

 

 

全体主義というとヒットラーを思い描く人が多く、「昔そんなひどいこともあったよね」という話で終わらせてしまう人が多い。

 

 

かくいう私がこれを読む前はそうだったのだが、読んでみてすぐに感じたのは、まさに今の世の中のいたるところで起こっていることではないかということだ。

 

・・・ヒットラーの政権掌握は民主主義的な憲法のすべての規定に照らして合法的であり、彼は絶対多数にわずかしか欠けることのない最大の政党の指導者だった。

ハンナ・アレント『全体主義の起源3』

 

ヒットラーはすでに知られている通り急に権力を強奪したのではなく、民衆の熱狂から生まれてきた。支持率は80%とも90%とも言われており、圧倒的に人気を誇った人物である。

 

しかし、結果はご存知の通り、数百万人のユダヤ人を殺戮し、ドイツ国民にも壊滅的な打撃を与えた最悪の政治家と言われている。

 

 

ここで、ヒットラーに眼を向ける紙幅がないので、「民主的な手続きからヒットラーが生まれた」という事実の方に注目したい。

 

 

あのような最悪な政治家をなぜ支持してしまったのかであるが、アーレントは「現状の存続」を恐れる人々の恐怖やルサンチマンから誕生したと指摘する。

疑いもなく全体主義運動はそれ以前の革命的な政党や運動よりもラディカルに既成の諸関係に戦いを挑んだ。・・・勿論この過激性の原因の一半は、根無し草と化し現状の存続を何にも増して恐れている大衆の心の底に潜む熱望にある。

ハンナ・アレント『全体主義の起源3』

 

今の日本に当て込んでも状況が極めて似ている。

現在の日本に高揚感を感じている人は極めて少ない。

 

 

探すまでもなく日本に前向きな捉え方をする人よりも「停滞感」「もうダメだという感覚」を感じている人が多いだろう。

 

そう。その状況はヒットラーを生み出した環境と類似しているのである。

 

こういう話をするとよく「ヒットラーほどのやつは日本では出てこない」という指摘がよくなされる。それに関しての私の反論は「出てきてからでは遅い」ということに尽きるのだ。

 

ちなみにこの大衆の悪意を吸収しながら大きくなっている政治団体が大阪維新の会だったり、都民ファーストである。

 

 

先ほど引用した「それ以前の革命的な政党や運動よりもラディカルに既成の諸関係に戦いを挑んだ」というところが彼らを表している。

 

「抜本的改革」「東京大改革」「日本をグレートリセットする」など極めて危険な様相を呈しており、敵をでっち上げ既成政党にラディカルな攻撃を仕掛けている。

 

 

そして、ヒットラー同様そのためならば粉飾やデマを使うことすら厭わない。

 

 

これらの政党がどれほどデタラメかは少し調べてみてもらえばわかるので是非調べていただければ幸いである。

 

兎にも角にも繰り返し読んで欲しい本である。

正直難しいが、読むたびに新しい発見がある本としてはかなり稀少である。

オルテガ・イガセット『大衆の反逆』

最後に教科書などでもご存知かもしれないがオルテガの『大衆の反逆』をあげたい。

 

この本を繰り返し読むことで現代人が「昔の人より優れている」という我々に潜む傲慢を捻りつぶすことができる。

 

私自身なんども読むことでオルテガから見えてくる過去に生きた人々の偉大さを感じることができた。

 

 

自分にとってオルテガとは先ほど挙げたアーレントやバークを読むきっかけにもなった人物だ。

というのもここで書いている3冊の中では読みやすさが圧倒的に高いからだ。

 

 

それでいて繰り返し読みたいと感じさせる本である。

 

われわれの時代は絶頂ではない。しかしながら、自らは今までのすべての時代の上にあり、今までに知られているすべての頂点を超えるものだと感じている。われわれの時代が自分自身についてどういう印象を持っているかを、言葉で表現するのは容易なことではない。われわれの時代は、自分がすべての時代に優る時代であると信じていると同時に、一つの出発点であると感じながら、しかも、それが末期の苦悶とはならないと言い切る自信もないのである。

オルテガ・イガセット『大衆の反逆』

 

 

ゲーテも述べたことだが、我々の時代が最高であると思ってしまうと歴史を学ばないし、同じ失敗をするとオルテガは語る。

 

 

うぬぼれ、忘恩、軽薄、、、、現代のいたるところで散見されることである。

 

そして、結論としては、われわれの時代の特徴は、自分が過去のあらゆる時代以上のものであるとする奇妙なうぬぼれを持っているということ、いやそればかりではなく、いっさいの過去に不関知なるがゆえに、古典的規範的な時代を認めないのではなく、自分自身をすべての過ぎ去った生に優るとともにそれらには還元しえない一つの新しい生であるとみなしていることを指摘した。

オルテガ・イガセット『大衆の反逆』

 

 

過去の遺産を尊重したり、それを批判的に分析をしないから財界では「外国人経営者を呼ぼう」「日本をシンガポールのように」「終身雇用が日本停滞の要因だ」などと適当なことを言える。

 

 

 

バーク、アーレント、オルテガに共通して言えるのは歴史の尊重や伝統的共同体や価値観の尊重の重要性を説いたことである。

 

 

 

グローバル時代に「英語だ」「プログラミングだ」「MBAだ」という人には少し冷静になってもらいたい。

 

おもしろきことなき世を面白く

 

 

 

About The Author

高杉晋作
1992年日本生まれ。ハンナ・アレント、カールヤスパースを師と仰ぎ読書会をやっている青年。より多くの人に「言論活動」の場を広げることで「人間味ある世界」の再生を目指している。

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