私は高杉晋作

頭がおかしいと言う人が「頭がおかしい」

あなたが最も誤解している1つの言葉について語ろうかーだから世の中はおかしいー

約 7 分

突然であるが、あなたは「保守」「保守的」と聞いて何を思い浮かべるだろうか?

 

 

 

まず結論から言うとすべて間違いである。

世の中のおおよその人間がこの「保守」という言葉の意味に対して誤解をしている。

 

 

 

という事で、今日は、「保守」とはなんなのか?について書いていきたい。

 

ここで、マクドナルドをV字回復させた原動力であるあなたからすると「そんなことを知ってどうすんだよ!」と激怒するかもしれない。

 

 

 

 

そういうあなたにはショーペンハウエルの『知性について』を眼球がすり減るまで読んでもらいたいが、なぜ「保守」について知る必要があるかを特別に一言で述べよう。

 

 

それは、我々に今最も欠けている態度であるにもかかわらず、本来、最も必要な態度だからだ。

 

  1.  「保守」とは安定志向?
  2. 「保守」とは現状維持?
  3.  真に「保守的」であるとは?

 

世の中がおかしいのは真の意味での「保守」が絶滅しかかっているからだ。

 

1.「保守」とは安定志向?

 

まずよく散見される「保守」とは安定志向であるということについて見ていこう。

 

 

 

冒頭に挙げた「公務員志望の大学生」なんかはこの「保守」のイメージの典型例だと思う。

 

 

 

一方で、そうした学生を批判するホリエモン竹中平蔵のような「どんどん規制緩和して競争させましょう」というスタンスの人間は「合理主義者」と多くの人から呼ばれる。

 

 

 

 

ただ、その二項対立の図式は本当に正しいだろうか。

 

オークショットの言葉が興味深いので紹介したい。

 

中心にあるのは、合理主義者の確実性に対する執着である。彼において技術と確実性とが分かちがたく結合するのは、彼にとって確実な知とは、確実性のためにそれ自体を超えて他のものに目をやる必要のない知、つまり最終結果が確実であるだけなく、出発点から確実であり、最初から最後まで確実であるような知のことであるためである。

マイケル・オークショット『政治における合理主義』

 

 

これを読むとどうも「公務員志望の大学生」は「保守」ではなく、むしろ「合理主義者」と言えるのではないだろうか。

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「公務員志望の大学生」もホリエモンも同じ「合理主義者」なのである。

ただ、信望するイデオロギーが異なるだけなのだ。

 

 

逆に言えば、ここまでで、読者にもわかってもらえたかもしれないが、「保守」的であるとは、合理的ではないことを指すのである。

 

保守派が合理的でないのは当然なのだ。むしろそれは合理的であつてはならぬ。保守派は見通しをもつてはならない。人類の目的や歴史の方向に見通しのもてぬことがある種の人々を保守派にするのではなかつたか。世界や歴史についてだけではない。保守的な生き方、考え方というのは、主体である自己についても、すべてが見出されているという観念をしりぞけ、自分の知らぬ自分といふものを尊重することなのだ。

福田恆存『保守とは何か』

 

 

わかりやすい例を挙げれば、「公務員なら一生安泰」というイデオロギーに自信がなく、公務員にならない人がむしろ「保守的」なのだ。

 

 

2.「保守」とは現状維持?

次にもう一つのよくある「保守」とは現状維持にこだわることについて見ていこう。

 

 

残念ながら、これも間違いであることを知らなくてはならない。

 

保守派がつねに現状に満足し、現状の維持を欲しているといふ革新派の誤解である。戦術的誤解でなければ希望的観測である。日本の保守党すら、明治以来今日に至るまで、たえず進歩と改革を考へてきた。

福田恆存『保守とは何か』 

 

 

 

いわゆる「革新派」と呼ばれる人たちは、「保守」という観念に対してこのようなレッテルを張ることで、自らの人気を獲得しようとするのが歴史の常だ。

 

 

 

橋下徹小泉純一郎などはその典型例で、官僚悪玉論やら議会無能論をメディアを通じて植えつけることで大人気となった人たちである。

 

 

 

ただ、「保守」と呼ばれる人たちが明治以降日本の成長を支えてきた事実をなぜ多くの人は見逃してしまうのか。

 

 

  

 

 保守は現状維持する事とイコールでは断じてない。

そして「保守」こそが進歩を作り出してきたことを我々は忘れてはいけない。

 

未だに「橋下さんはなんかやってくれそう」「あの人は総理になるべき」という人などはもう収集がつかないので、少しくらい歴史を学んで欲しい。

 

まあ過去に学ばなくても、舛添要一民主党に世の中が同じことを言っていたことを思い出せば十分か。

 

3.真に「保守的」であるとは?

では、結局「保守」とはなんなのか?

 

 

それは、あらゆる「進歩」や「合理的」と呼ばれる誘惑に対し、立ち止まり疑うことができる態度なのである。

 

そして、よく考えた上で、ゆっくりと検証しながら前に進むことを指すのだ。

 

人間は停止することができぬなどとたれがいふのか。そのやうなことばに耳傾けてはならない。・・・僕達の肉体は停止することが出来ない。が、精神はいつ、どこでも時間の外に停止することができる。・・・いやそれは静止しうるのみならず、なにか大いなることをなさうとするばあひ、あるいは自己を変革するばあひ、かならず静止のひとときをもたなければならない。

 もし、僕達の近代史にもっとも根源的な弱点を指摘せよといふならば、それは明治以来現在に至るまで、ぼくたち日本人が静止の瞬間をもたなかつたこと・・・

福田恆存『保守とは何か』

 

 

福田は、現代の人間はあらゆるイデオロギーに対し静止して考える知性的な態度が欠如していると述べている。

 

 

 

大衆は、本当に疑う力が致命的なまでに低い。

  • 公務員や大企業は一生安泰
  • 大阪都構想をしなかった日本は終わり
  • スマホを持たないのは人間じゃない

 

 

私にとってはこれらは疑いの対象でしかないのだが、多くの人はなぜか盲目的に信仰し、賛同しない人間を許容できない。

 

 

 

最後に、以前別記事において紹介したのだが、「合理主義」がどれほど危険であるかを示すいい例を紹介したい。

 

しかし、「合理的な服装」という表現は、特にヴィクトリア朝時代において、自転車に乗る少女たちに好まれた風変わりな衣服に対して用いられたものである。

 マイケル・オークショット『政治における合理主義』

 

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 上は、ヴィクトリア時代において自転車に乗る際に最も「合理的」とされた服装だ。

 

 

現代から見た場合、「合理的」だと言える人間はどれほどいるだろうか?

いないであろう。

 

 

ただ、当時は本当に「合理的な服装」だったのである。

 

ブルーマーは、ある設計からなる自動車を進ませる活動にはどんな衣服が最適かという問いに対する回答ではなく、どんな衣服がそれ自体の中に次のような諸特性を組み込んでいるかという問いに対する回答なのである。すなわち、その衣服が自動車を進ませる活動にうまく適合し、しかも万事を考慮すれば、1880年にイギリスの少女たちが自転車に乗る時の姿が人々の見た目に適うという特性である。

マイケル・オークショット『政治における合理主義』

 

 

「効率よく前進すること」こそが自転車における「合理性」だと盲目的に信じている我々には理解のできない話である。

 

 

 

だが、当時の合理性では、自転車に乗る時には「効率よく前進すること」よりも「自転車に乗る姿が人からどう見られるか」の方が重視されたのだ。

 

 

 

この例で知って欲しいことは、合理主義者とはこのようにある盲目の前提を常に持っているということである。

 

そしてそれ以外の多様性を許容できなくなるという性質を持つ。

 

 

 

だがら、前提に問題があった場合取り返しがつかなくなるのだ。 

 

 

 

もちろん世の中は疑ってばかりでは生きていけないというのは事実である。

ただ、「そうだから疑うのはやめましょう」と言う人間は「終わった人間」である。

 

「哲学すること」は、根源を目覚まし、自己へ還帰し、内的行為においてできるだけ自らを助けるという決断であります。・・・・単なる仕事や、目的物に没頭することがすでに自己忘却への道であり、同時に怠慢と罪であることを知ることが、哲学的な生活態度への意志なのであります。

カール・ヤスパース『哲学入門』

 

 

 

今こそ、「保守」の精神を取り戻さなくてはならない。

 

 

おもしろき事なき世を面白く 

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