私は高杉晋作

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私は高杉晋作

頭がおかしいと言う人が「頭がおかしい」

世の中がおかしくなっている理由ー闇が溢れる社会の正体ー

  • 世の中が嫌になったと感じる人
  • 世の中おかしい(おかしくなっている)と感じる人
  • 世の中つまらないと感じる人

 

こういった人々に本記事は読んでいただければと思う。

 

 

人間は、近代以降、経済の合理化や機械化を推し進めていくやり方に何ら疑いを持たなかった。

 

そして、常に世の中が進歩していることを疑わなかった。

 

 

ただ、どうだろう。

 

 

今以上に、「世の中つまらない」「世の中おかしい」「世の中に嫌になった」という人が多い時代もないのではないか?

 

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例えば、自殺数のここ100年の推移なんかがそれを表している一例ではないだろうか?(最近はどうか知らんが急に減っているということはあり得まい)

 

 

どうやら産業や経済の発展で世の中を豊かにしていくにあたり我々が破壊したものがあるのだ。

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今日は、ハンナアレントの言葉を借りつつ、社会の「発展」と引き換えに世の中おかしくなっている理由について書いていきたい。

  1. 経済の豊かさと引き換えに人間が破壊したもの
  2. 労働するためだけに生きる人間ー失われつつある人間の条件ー
  3. 闇は開けないのか?

 

 

 

1.経済の豊かさと引き換えに人間が破壊したもの

ハンナアレントは、『人間の条件』の中で、「私たちが行っていること」を考えることを通して、「人間の条件の最も基本的な要素を明確にすること」に取り組んだ人物だ。

 

 

そして、彼女は、人間の条件のもっとも基本的な要素として以下の3つを挙げた。

  1. 労働
  2. 仕事
  3. 活動

 

このうち「経済の豊かさ」と引き換えにほぼ駆逐されたのが「活動」(+仕事)である。一方で、最も高い価値を与えられたのが「労働」だ。バランスが完全に崩れたのだ。

 

 

しかし、この経済合理性と引き換えに放棄した「活動」は人間を「人間らしく」するために実は最も重要な役割を担っていた。

 

 

つまり、この「活動」領域消滅の危機こそが、現代社会の闇であり、多くの人が「世の中がつまらない」と感じる根源的な理由だということだ。

 

 

*「労働」と「仕事」の違いについて記載したこちらの記事を読んでいただいた方が続きが理解しやすいかと思う。

 

www.shinsaku-takasugi.com

 

 

では、ここでいう「活動」とは何なのか?

*ちなみにこの簡易な表現がむしろ彼女の意図を難解にしていると言われている。

 

 

私なりの解釈で恐縮だが、一言でいうと、「活動」とは「他者との差異」を己が実感するために最も有効な行動なのである。そしてそれを生み出す環境を「活動」領域という。

 

 

言い換えると、「活動」領域が淘汰され「労働」が最上位概念である現代は「他者との差異」は取るに足らない問題となる社会だと言える。

 

 

 

では、ここで、「己が他者に対してユニークであると感じること」がなぜそれほどまでに大切なのか?について我々は考えを及ぼさなくてはならい。

 

 

 

これに合理的な解釈をつけることは極めて難しいということを前提とした上で、、

 

アレントの言葉を借りれば、人間はあらゆる行為をする際に、無意識に自分の姿を明らかにすることを志向する生き物であるとのことである。

 

 

それゆえに、自分の姿を明らかにできる行為にこそ喜びを感じ幸福感を感じられるのだと彼女は付け加える。

どんな活動においても、行為者がまず最初に意図することは、自分の姿を明らかにすることである。これは止むを得ず活動する場合でも、自分の意志から進んで活動する場合でも同じである。どんな行為者でも、行為している限り、その行為に喜びを感じるのはそのためである。

ハンナアレント『人間の条件』

*この「活動」という言葉、私の解釈が適切かどうかは疑ってもらった上で、ここでは、「言論活動」と割り切って解釈してもらいたい。(ただ、憲法にあるような「表現の自由」とは意味が異なるので注意頂きたい)

 

 

ただ、繰り返しになるが、この人間が最も充足感を感じる(言論)「活動」は現代社会からは駆逐されつつある。

 

 

その理由はというとひとえに「金にならない」からであろう。

確かに人間が「人間らしい」という状況を作る事は金にはならない。

 

 

だから、経済合理性が最優先の近現代イデオロギー下では「労働」以外は価値を持たなくなる。

 

近代は伝統をすっかり転倒させた。すなわち、・・・・伝統的ヒエラルキーさえ転倒させあらゆる価値の源泉として労働を賛美し、・・・引き上げたのである。・・・・近代において労働が上位に立った理由は、まさに労働の「生産性」にあった・・・。
ハンナアレント『人間の条件』

 

 

もう「世の中おかしい」「世の中つまらない」「世の中嫌になる」理由は見えてきたのではないだろうか?

 

 

一言でいえばこうだ。

 

近代イデオロギーにより「金になるかどうか」だけであらゆる価値判断が行われるようになった結果、「金になるかどうか」という問いに答えない(言論)「活動」領域は駆逐された。

 

 

しかし、人間が捨てたその「活動」領域は人間が他者との差異性を感じ、充足感を感じる上で最も重要なものだったのであり、それを失った現代社会は全員が差異性を喪失しつつある危機的状況に置かれているのである。

 

 

2.労働するためだけに生きる人間ー失われつつある人間の条件ー

現代の病理をさらに理解する意味でも、「活動」と引き換えに最も人間から「人間らしさ」を奪った「労働」について少しだけ見ていきたい。

 

 

そもそも「労働」の本質とは何か?

 

 

 

それは「分業」である。

人間一人ひとりが特殊な個体であることは一切求められないしむしろ邪魔である。

  

実際、人々が集合して、「あたかも一人であるかのように共同労働する」労働集団を形成するのは、労働の本性からくるのである。そしてこの意味での共同性は、他のいかなる活動力にも増して労働に深く浸透するだろう。しかし、このような「労働の集団的性格」は、労働集団の各メンバーに、認識でき確証できるリアリティを与えるものではない。

ハンナアレント『人間の条件』

 

 

「歯車」「ベルトコンベアー」という言葉を自虐的に使う企業戦士がいるがあれは紛れもなくその実相を捉えた言葉である。

 

「労働」が賛美される世の中ではあなたは「あなた」であってはいけないのだ。 

 「社会」や「会社」の発展のために没我する事が求められる。 

 

 

そう。あなたが毎日暮らしているこの世界は全体主義社会なのである。

 

 

 

だから、「労働」と「活動」の違いを一言で言えと言われたら、私なら以下のように答える。

 

奉仕する対象が違うのだ。

 

労働は奉仕先が「会社」であり、「社会」であり「総統」である。

決して「自分」ではない。

 

 

一方で、「活動」は「自分」に対して奉仕する。

 

 

 

 

「社会」への貢献や「会社」への貢献という美辞麗句の名の下人間は自らの人間らしさを捨て去り闇の中に飛び込んでいる。

 

 

3.闇は開けないのか?

補足すると、私は「社会」や「会社」に貢献するなと言いたいのではない。

 

結果として、自分が自分のために生きて「社会」や「会社」が潤う社会なら歓迎である。

 

 

ただ、現代は順序が逆だ。まず、「社会」や「企業」が来る。

 そして、それらが掲げる「経済合理主義」的イデオロギーに個人は有無を言わさず巻き込まれている。

 

 

この没個性化(全体主義化)が加速する世の中の闇の深さに私は毎日頭を悩ませている。

イデオロギーは常に、前提からの展開によって全てを説明するためには一つの観念があれば充分であり、全てはこの一貫した論理的演繹の過程の中に含まれている以上経験などは何も教えないという仮定に立つ。・・・・人間の思考能力に固有の自由を捨てて強制的論理を取るということである。人間はこの強制的論理を持って、何らかの力によって強制されるのとほとんど同じくらい乱暴に自分自身に強制を加えるのだ。 

ハンナアレント全体主義の起源』

 

 

いつから自分は自分のために生きてはいけなくなったのだろうか。

人間は自らの幸福のために生きてはいけなくなったのだろうか・・・

 

 

実は、この世界の闇に一番初めに気づいたのはニーチェだった。

 

今日では「道徳的」「利己的でない」「無私無欲」のような概念が全て同じことを意味するようになったのであり、この偏見がすでに「固定観念」として、脳の病として猛威を振るううようになっているのである。

ニーチェ道徳の系譜

 

自分自身で考えることをやめ「社会」のため「会社」のために生きることを強いるこの世の中は紛れもなくイカレテいる。

 

その犠牲になったのが先日の電通の過労死事件の高橋さんであったりするのではなかろうか。

  

おもしろき事なき世を面白く

 

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p.s

ちなみに私が「公的な言論空間」を創出する「活動」領域として昨年から注目しているのが神田昌典氏発起人のRead for actionである。

 

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