私は高杉晋作

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私は高杉晋作

頭がおかしいと言う人が「頭がおかしい」

【第三回】日本最初のバイリンガルが語る「日本人のあるべき姿」-英語をやるより勉強すべきこと-

今日、グローバル人材の養成が声高に叫ばれている。

 

「内向きな若者はダメだ」ということを自称「知識人」たちが叫んでいる。

まあ、そこまではいいだろう。

 

 

ただ、そこからがおかしい。

 

 

 

「英語を勉強して海外に出て行きなさい」というのだ。

この発言は極めて問題である。

 

 

 

なぜなら、この発言をした場合、次の2パターンに行動が分かれるのだが、両方とも誤りという最悪の結果になるからだ。

 

  • 英語を勉強して「これからは海外っしょ!」が口癖になるバカになる。
  • 相変わらず内向きのまま毎日を無為に過ごすバカのままである。

 

 

 

グローバル社会で日本人が生き残るには、この両者ではなく、「日本の伝統や歴史に学び日本人としてのバリューが出せるようにすること」以外にはない。

 

いくらcommunication competenceをつけても話にならない。

 

 

 

今日は、日本最初のバイリンガルである岡倉天心が語る「国際社会において日本人としてあるべき姿」について書いていきたい。

 

 

結論から言ってしまうと「英語をやりなさい」という記述は一言も見当たらない。

  1. 岡倉天心のプロフィール
  2. 岡倉天心が述べる世界と渡り合える日本人の条件
  3. 今から我々がすべきことは決まっている

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1.岡倉天心のプロフィール

岡倉天心は1862年に生まれ、明治時代に活躍した美術運動の指導者であり、文明思想家という肩書きを持っている人物だ。

 

 

生まれが、開港地であった横浜の貿易商の息子であったこともあり、日本語習得以前から英語を母国語のように習得するという極めて稀有な環境下で育った。

 

 

 

それゆえに日本最初のバイリンガルとも言われている。

そうした環境で育った彼は、どういう生き方を選択したのか?

 

 

英単語の勉強でもなければ、英語の問題集をやるのでもなかった。

 バイリンガルとして語学力をさらに磨く手段もあったはずなのにだ。

 

 

彼は、漢学や仏教日本画や琴、茶道など日本古来の文化を学ぶことにかなりの時間を費やしたのだ。

 

 

 

この生き方は駅前留学信望者、語学留学信望者には理解し難い行動であろう。

 

 

 

 

おそらく若くして気づいていたのだろう。

 

 

 

世界(欧米)と渡り合うには英語ができることが重要ではない。

もっと大切なものがあると。

  

 

2.岡倉天心が述べる世界と渡り合える日本人の条件

では本題に入っていこう。

 

岡倉天心は文明開化という時代の中で、これほどまでに日本文化を学ぶことを重視した理由が次の言葉に表れている。

 

どれほど多くの福音書がこの真理を説いていることか!「汝自身を知れ」とは、古代ギリシャデルフォイ神託が告げた最大の神秘だった。「すべては汝自身のうちにある」と孔子は静かに語った。 

岡倉天心『茶の心』

 

 

キリスト教聖典儒教の開祖も述べたのは1つであった。

「汝自身を知れ」ということだ。己を知らずして何も理解できぬと。

 

 

 

天心は古代の賢者の教えに習った。

小手先ではなく、本質を捉えることを目指した。

 

 

 

これに関して河上は、「天心は古代に学ぶことで進歩しようとした」と述べている。

 

いわば彼は新しいものを求めて古美術の道へ踏み込んだのだ。これが天心の進歩性である。そしてここに彼が目先の時流を追わず、安きにつかぬ在野性、或いはアウトサイダーとしての真面目があるのだ。

河上徹太郎『日本のアウトサイダー

 

 

天心自体も、別の箇所で以下のように述べている。

古いものを尊ぶのは最良の人間性の一つであり、もっとこれを伸ばしていくべきとも言える。過去の巨匠たちは、未来の啓蒙への道を切り開いてくれたということからも、まさに讃えられるべきである。彼らは何世紀にもわたって批判に耐え、栄光に包まれて今日にまで至っているというだけでも尊敬に値する。 

岡倉天心『茶の心』

 

 

古いものを学ぶことで、何か「新しい」ものを生み出していける。

そして、欧米に劣らず渡り合えると彼は考えていた。 

 

 

 

これは私自身も既に様々な記事で述べてきたことであり、あらゆる知識人も口をそろえて言っていることだ。

 

ゲーテ

 

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世の人は常に独創ということをいうが、その意味は何だろう。生まれるとすぐ世界はわれわれに働きかけてくる。死に至るまでそれは続く。いったいエネルギーとか力とか意志とかを除けば、どこにわれわれ自身のものと呼ぶことのできるものがあるだろう。もし私が偉大な先駆者や同時代の人に負うた点をすべて挙げていけば、残るところは極めて僅かだろう。

エッカーマンゲーテとの対話』

 

ショーペンハウエル

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したがって読書に際しての心がけとしては、読まずにすます技術が非常に重要である。その技術とは、多数の読者がそのつどむさぼり読むものに、我遅れじとばかり、手を出さないことである。・・むしろ我々は、愚者のために書く執筆者が常に多数の読者に迎えられるという事実を思い、つねに読書のために一定の短い時間をとって、その間は比類なく卓越した精神の持ち主、すなわちあらゆる時代、あらゆる民族の生んだ天才の作品だけを熟読すべきである。

ショーペンハウエル『読書について』

 

 

福沢諭吉

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あるものを採用しようとすれば、ゆっくり時間をかけて考え、だんだんとその性質を明らかにしてから、取捨選択をすべきである。なのに、最近の世の中の様子を見ると、中程度以上の改革者たち、一人がこれをいえば、皆それに倣い、およそ知識道徳の教えから、政治・経済・衣食住の細々としたことに至るまで、全て西洋のやり方を慕って、これを手本にしないものはない。・・・ひたすら古いものを捨てて、新しいものを求めているようだ。なんと、物事を信じるのに軽々しく、疑い方の粗忽なことよ。

福沢諭吉『学問のすゝめ』

 

 

どこにも「駅前留学しろ」とは書いていない。

 

「駅前にN◯VAがないからだろ!」

「語学留学プログラムが当時なかったからだろ!」

 

と言われそうだが、そんな屁理屈は受け付けられない。

 

 

3.今から我々がすべきことは決まっている。 

よく誤解されるのでいっておくと、私は英語学習を否定しているのではない。

 

ただ、プライオリティがおかしいと言いたいだけなのだ。

 

 

英語ができれば渡り合えるのであれば、明治の開国時、敗戦時になぜ英語公用語化しなかったのかという問いに答えられないのだ。

 

 

 

 

いうまでもなく、当時の日本の中枢にいた偉大な人々が「英語ができること」は世界と渡り合う上で重要度が高くないと判断したからだ。

 

 

 

だが、今多くの人が、また「英語ができれば世界で通用する」と考えている。

古典に学ばないからだろう。病気である。

 

「過去は何をしたらいいかは教えてくれないが、何をしてはいけないかは教えてくれる。」オルテガ

 

 

 

 留学で30万、50万使おうとしているならば、その前にまず以下の本を読んでほしい。

 

管理職の人間やら似非グローバル人材が「英語は大事だぞ」と言っているのを見ると片腹が痛い。 

 

 

おもしろき事なき世を面白く

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